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『偽装の結婚』資料

目次

 小説を読む前にこの資料を読む必要はまったくありません。

 用語集は制作途中のため、すべてを網羅しているわけではありません。

『偽装の結婚』に登場する地名

ローゼンディア王国

 富める大国。男性優位社会の周辺諸国とは異なり、男女平等社会。
 国教は多神教のヴァリア教であり、全ての国民がいずれかの神々の末裔であると信じられている。
 その頂点に立つのが、王家を含む『七宗家』と称される七つの大氏族であり、七宗家においては王家と言えども立場は対等である。
 奴隷は最大の禁忌とされ、周辺諸国とは異なり、奴隷制度は存在しない。
 風呂が無ければ生きていけない国民性。

主要地域

イオルテス地方

 王国極東部地域。豪雪地帯であり、良馬の産地。
 東の方でトゥライとラシュメルタ王国に接している。
 戦神の末裔(イスタリヘーレイ)セウェルス族の支配地。

カサントス地方

 イオルテス地方の南にある地域。
 東の方でトゥライとラシュメルタ王国に接している。
 戦神の末裔(イスタリヘーレイ)セウェルス族の支配地。

トラケス地方

 王国東部、フェルシナ大内海の南に位置する森林地帯。
 狩猟神の末裔(ダルフォイヘーレイ)ゼメレス族の支配地。
 神木(シトロリオン)の産地であり、絹織物とお茶の産地でもある。
 食はトラケス料理と呼ばれ、王国でも最高の料理として名高い。

カプリア地方

 王国南部、ミスタリア海に面した温暖な地域。
 主人公アイオナの故郷がある。

主要都市

ディブロス

 ダルメキア国内に存在する植民都市。
 本国より古い歴史を持つ。
 沿岸部に位置し、海上交易が盛ん。

サザロス

 海神の末裔(ゼフルヘーレイ)の本拠地。海都とも呼ばれる。

ペルギュレー

 ローゼンディア西方地方にある都市。死せる大蛇の地とも謂われ、神話にも登場するほどの古い歴史を持つ。
 メーサーとアクシオーンの大神殿があり、両神の聖地である。
 周辺諸国に名高いペルギュレーの秘儀はメーサー大神殿で、神託はアクシオーン大神殿で授けられる。
 四年に一度大祭が催されるが、この大祭の時に陸上競技会と、音楽詩歌の発表競技会が行なわれる。
 大祭はペルギュレイオンと呼ばれ、国内はもとより周辺諸国を巻き込んでの熱狂的なものとなる。
 祭は三ヶ月の間続くが、この期間は周辺諸国に対して「聖なるペルギュレーの平和」という宣言がなされる。
 この期間中は大祭に訪れる競技者や巡礼者全ての安全が保証されていて、それはローゼンディアと戦争中の国の人間であっても適用される。

アウラシール

 広大な範囲に都市国家が点在し、その都市ごとに王が存在する都市国家群地域。
 統一の宗教はなく、都市ごとに様々な神を崇めている。
 最も古く歴史のある地域だが、統一国家が現れることは稀であり、紛争が絶えない。
 その広大な地域は大まかに東西南北に分けられ、北のナーラキア、東のハルジット、南のジルバラ、西のリムリクと称される。

リムリク地方主要都市国家

 いずれの都市も、都市一つで独立の国家である。

アンケヌ

 リムリク地方中央部のナバラ砂漠に存在する、ナバラ砂漠中最大の交易都市。

ザナカンダ

 リムリク地方西部ダルメノン山脈南端に位置する古代都市。
 この地方で最古の歴史を持ち、新ナーラキア帝国の帝都だった。

エルメサ

 リムリク地方西部に存在する古代都市。
 二大都市と言えるザナカンダとベルガトの中間に位置している。
 ミスタリア海沿岸部と内陸を結ぶ交通の要衝。

ベルガト

 リムリク地方北部、ローゼンディアと国境を接する古代都市。
 古来よりローゼンディアとリムリクの諸王朝で奪い合ってきた歴史を持つ。

バワン

 ベルガトの南に位置する都市。
 水車の都市と言われ、古代ナーラキア帝国によって創建された。

ダルメキア王国

 アウラシールの最西部に位置する沿岸国家。ローゼンディアの同盟国。
 国教はヴァリア教。
 海洋国家であり貿易が盛ん。

ラシュメルタ王国

 ローゼンディアの東方に位置する国家。
 女性が中心の社会構成であり、主な産業は傭兵。

ナーラキア帝国(古ナーラキア帝国・新ナーラキア帝国)

 かつてアウラシールに存在した恐怖の古代帝国。
 周辺諸国に大きな影響を及ぼした。

トゥライ

 ローゼンディアの東方に位置する遊牧騎馬民族の地域。
 様々な部族が存在している。

ヴァルゲン

 ローゼンディアの西方に位置する地域で、王や首長を中心とした部族・氏族がいくつも蟠踞(ばんきょ)している。
 宗教はアラトナ教かヴァリア教が多いが、昔からの土着宗教も残っている。地域によって違う。
 その食文化はすべてを圧倒・超越している。

レメンテム帝国

 西方の大帝国。国教は一神教のアラトナ教であり、神官は神の代行者とされ、様々な利権を握っている。
 皇帝は存在するものの、軍部と教会が大きな力を持ち、互いに争っている。

ヌーガ

 全人類の敵である悪の種族の地域。

フェルシナ大内海

 ローゼンディアの東北部に存在する大内海。
 その周縁は大部分が人跡未踏の地で囲まれているが、西の一部と、南で人類の世界に接している。この内海の南がトラケス地方になる。

『偽装の結婚』に登場する用語

あ行

アルサム

 本作品世界では一般的な植物で、食用の実が採れる。
 その実から絞り出されたのがアルサム油である。

アルサム油

 アルサムの実から絞り出した油。
 食用、美容、燃料、とあらゆる用途に使用される必須の油。

アルメタ

 香草の一種で、お茶に入れたり料理に使ったりする。
 アウラシールではパファティという。
 爽やかですきっとした風味が特徴。

イスターリス戦士団

 ローゼンディア王国の特殊軍団。
 戦王直属の部隊であり、国王ですら自由に動かすことはできない。
 騎士の枠に収まりきれない者たちの吹き溜まりと言われている。

イビドシュ杉

 アウラシールのリムリク地方に生えている樹木で、シトロリオンと並んで珍重される。

ウナ

 アウラシールで一般的なパンの一種。
 薄く平たい円盤状をしており、主に千切(ちぎ)って食べる。
 基本的には発酵させずに作るので乾燥すると石のように固くなる。
 発酵菌と卵を使ったふわふわのウナもあるが、王侯貴族や、金持ち階級のものになる。

か行

海将家

 海王グライアス宗家より分かれた分家であり、三家が存在する。
 植民都市国家ディブロスの執政職を出すところから執政家とも呼ばれる。
 アナクシス、ベルギルス、フィロディアスの三家がある。

公衆浴場(カラシュハル)

 ローゼンディア式の錢湯。

カラヤ

 貴石(きせき)が編み込まれた、胸を覆うような平たい首飾り。
 アウラシールの正装には欠かせない装身具であると言われる。

クポラ

 飲料用の器で、主に旅行で使われる。
 荷物や、馬や駱駝の帯から提げられるように横に持ち手がある。
 アウラシールではカラクという。

グライアス家

 海神ゼーフルを祖神とする海神の末裔(ゼフルヘーレイ)の宗家。

クラーヴァ

 魚卵の塩漬けである。フェルシナ大内海に()むミュイという魚の卵であり、独特の風味と(さわ)やかな塩味を持ち、美味珍味としてよく知られている。
 ミュイが捕れるのは主にトラケス地方沿岸部である。

グラティオン

 戦場組打術。徒手で行なうものと、剣を持って行なうものとがある。
 剣を持って行なうものの方が歴史が古く、本式であるとされている。
 アウラシールではガヌーンという同系の闘技がある。

クヮデレム

 湯を沸かす為の金属製の容器で、ローゼンディアではカペレースという。
 クヮデレムはアウラシールでの呼び方。

ケルサイオン大神殿

 ローゼンディア王国建国の英雄ケルサイオンを祀る神殿。
 同名のものは王都にも存在するが、一般にはディブロスに存在するものの方が有名。

香草茶

 茶の一形式で、主にアウラシールで採用されるお茶の飲み方。
 直接茶葉を煮出す方式で、リヴァーフと呼ばれる香草を茶葉に使う。
 風味付けに香辛料や柑橘系果物のティモネ、茶葉とは別の香草を加える事が多い。
 砂糖や蜂蜜、牛乳を加えて飲む。

さ行

ジスタニオン競技会

 四大競技会の一つ。ディブロスのケルサイオン慰霊大祭の時に催される。

七宗家

 ローゼンディア王国の貴族の中で中心となる七つの氏族の宗家、また転じてその氏族自体をも意味する。
 要するに王国で最も力のある七つの氏族のことであり、王家もこの中に含まれる。
 七宗家の間に序列は存在しない。王家であっても同等である。

シトロリオン

 ローゼンディアのトラケス地方に生えている樹木で、神木とも言われる。
 加工しやすく強靱で、湿気にも乾燥にも強く、何より()も言われぬ芳香を放つことで知られる。
 古代より珍重されてきた樹木であり、主に建築の材として使用されてきた。
 伐り倒してから何十年という長い年月を寝かせることで、初めて本来の特性を表すという。

血の復讎(ジルト)

 アウラシールで一般的な民俗風習であり、身内、一族、同じ部族の者が殺された場合、加害者の集団の内からそれに相当すると思われる者を同じようにして殺すこと。
 通常は相手の側もその復讎に対して報復してくるので、復讎の連鎖が続き、涯しない殺し合いに発展するのが普通。

聖遺物

 この世界にいくつか存在する、超常的な力を持つ武器もしくは祭器。
 その力を引き出せるのは、その力の源泉となっている神々を奉戴(ほうたい)する一族や、民族だけである。

セウェルス家

 戦神イスターリスを祖神とする戦神の末裔(イスタリヘーレイ)の宗家。
 王国の東方に広大な領地を有する大貴族。
 セウェルス族は建国にも関わった大族である。

ゼメレス家

 狩猟神ダルフォースを祖神とする狩猟神の末裔(ダルフォイヘーレイ)、東の一族の宗家。
 王国東部のトラケス地方を支配する大貴族。
 大釜を聖遺物として所持する。

た行

絨毯(タフィート)

 アウラシールでは住居内には敷物を敷き、その上に直に坐るのが一般的であり、その敷物のことをいう。
 特にハルジット地方の物が美術工芸品として名高く、ハルジット絨毯と呼ばれて重宝されている。
 こうした敷物は素足で踏むものであり、大概のアウラシール人は、自宅では素足で生活している。
 ただし靴を履いて入る場所もあり、全てにおいて素足というわけではない。

剣の神殿

 アウラシールの南部ジルバラ地方、都市ティブリルに(おこ)った宗教で、剣の魔神ラマシュガを崇める一種の秘密教団。
 八千年以上の歴史を持つが、元々が修行者たちの秘密結社から出発したため、長い歴史の割に神殿の数は少なく、信徒もアウラシール以外ではダルメキアぐらいにしか存在しない。
 入信には厳しい儀礼が課せられるので、誰でもが信徒になれるというわけではない。
 本拠地はティブリル大神殿。

剣の聖者

 アウラシールの地方教団・剣の神殿で最高位に位置する称号。
 剣の魔神ラマシュガにより民族性別問わず任命され、教団内のみならず、アウラシールにおいては現人神とも言うべき存在である。

東方鉄弓家

 ゼメレス族の宗家より分かれた分家であり、三流六家とも呼ばれる上位貴族。
 三流とはベルディアス、ノウェルマイス、アローエスの三つの血筋を表し、六家はその三流いずれかに属している。
 ノウェルマイス家は千年ほど昔に断絶し、現在では二流の血筋のみが残っている。

  • 第一鉄弓家ベルディアス
    ベルディアス流の宗家。ロマイオス家とも言われる。
  • 第二鉄弓家アローエス
    アローエス流の宗家。
  • 第三鉄弓家アイティオス
    アローエス流のもう一つの宗家。レウスキア家とも言われる。
  • 第四鉄弓家グリエルス
    アローエス流の分家。
  • 第五鉄弓家ガルファディス
    ベルディアス流の分家。
  • 第六鉄弓家ノウェルマイス
    近年の復古家であり、アローエス流である。
    元々のノウェルマイス家とは違う血流になる。
トラナ茶

 ローゼンディアでは広く飲まれる飲み物。
 トラナという植物の葉を加熱したり発酵させたりする事によって茶葉を作る。
 大きく分けて藍、紅、緑、三種類の製法がある。
 茶の種類自体は七種類に分けられるのが普通だが、製法の違いは大まかに言って発酵の程度と、させ方の違いで、こちらは三種類とされている。

トリュナイア

 海の女神。
 主人公アイオナの祖神。

な行

は行

公衆浴場(ハルサブル)

 アウラシール式の錢湯。サウナが中心。
 浴槽がある所もあるが、ローゼンディア式と違い、湯の入れ替えを殆どしないか、または全くしないので大抵の場合不潔である。

ヘカリオス家

 狩猟神ダルフォースを祖神とする狩猟神の末裔(ダルフォイヘーレイ)、西の一族の宗家。
 王国の西方に広大な領地を有する大貴族。
 鉄弓を聖遺物として所持する。

ヘキナンサ

 ヴァリア教の商業神。
 道行く者を、(あきない)をする者を護ると言われている。

ペルギュレイオン競技会

 四大競技会の一つ。ペルギュレーの大祭時に催される。

ま行

マナナイ

 アウラシールでは一般的な料理で、ウナの付け合わせとして用意される事が多い。
 基本的には塩、香辛料、アルサム油で茄子や豆、挽肉などを和えたもの。

ムムト

 羽毛や綿などを詰めた、柔らかで弾力性のある座物。
 アウラシールにおいては椅子代わりとなる。

や行

ら行

ラマシュガ

 剣の魔神。四眼六臂、黒檀のように黒い肌と鋼色の巻き毛を持った少年の姿をしているとされる。
 舞踏の神でもあり、踊る姿で描かれる事が多い。

ラヌハサ

 アウラシールで広く信仰を集める女神。曙と黄昏を掌どる。
 愛の女神であるが、勝利と戦争の女神でもある。
 獅子を従え、翼のある姿で造形されることが多い。

わ行

ローゼンディア人の名前について

「成人名・幼名・家名・氏族名」

 と順番に並ぶが、最後の氏族名は、通常は省かれる。
 氏族名を告げる必要がある場合は別途口にする事が多い。
 また成人が通常名告る場合には、幼名は省略されることが多い。
 一般のローゼンディア人では「成人名・家名」の二つで名前が構成される事が多い。

 ただし公式な書類などでは全ての要素が記述される。
 氏族名も家名に続けて記録される。
 当然だが氏族宗家にはこの習慣はない。家名が無いからである。
 宗家やそれに近い人々の名前は、

「成人名・幼名・氏族名」

 の三つで構成されることになる。
 尚、父母が別々の氏族の場合はどちらを名告っても良いが、ローゼンディアではその時々で状況が自然に定まることが多いので混乱することは余りない。

例1:メイファム・エストリタ・テルミオス

 彼女はセウェルス氏族とゼメレス氏族のハーフである。
 よってどちらを名告っても良いのだが、通常はテルミオスという父方の家名を名告っている。
 ただしゼメレス族は母系制なので、その関係上、必要によって母方の家名を名告ることもある。

例2:ルキア・アマーティア・ゼメレス

 ゼメレス宗家にとても近い血筋なので、対外的にはゼメレス姓を名告るが、宗族内においては家名を名告る。
 家名はベルディアスなので、その場合は「ルキア・アマーティア・ベルディアス」となる。
 尚、ベルディアス家にはロマイオス家という通称もあるが、そちらを家名として名告ることは余りない。

アウラシール人の名前について

 アウラシール人の名前は五種類の単語で構成される。

1:アクル

 親から付けられた本人の名前。

2:ケザム

 誰某の息子もしくは娘。

  • ナブ…誰某の息子
  • マニ…誰某の娘
3:ウルグ

 誰某の父もしくは母。

  • ラド…誰某の父
  • ネム…誰某の母
4:ルタリ

 部族や氏族・家名・出身地・帰依する宗派など。

5:クメニ

 尊称。自分からは名告らないが、周囲から贈られる名前。

 一般にアウラシール人は

「本人の名前(アクル)・父の名前(ケザム)・祖父の名前(ケザム)・部族名や家名(ルタリ)」

 もしくは

「息子の名前(ウルグ)・本人の名前(アクル)・父の名前(ケザム)・部族名や家名(ルタリ)」

 という名告り方をする。
 ルタリはいくつも続けて入れることもある。

ザハト・ナブ・ディメク・ナブ・ダウメク・アヌン=アムシュタル・アヌン=ラムシャーン
(ラムシャーン族のアムシュタル家のダウメクの息子のディメクの息子のザハト、の意)

 クメニ(尊称)は比較的自由な位置に入る。本人が自分で言うことはまず無いために、発話者の気分とか音韻で位置が決まる事が多い。

例1:クメニは「ザフィース・アスメル」
ザフィース・アスメル・アトゥール・ナブ・マーディム・ナブ・ムンザル・アヌン=ヴィヤンダリ
例2:クメニは「シュガヌ」
ラド・バナアル・マグヌハヌ・クム=シュガヌ・ナブ・ワラディク・アヌン=エレビエリ

 女性の場合は誰某の娘とか、誰某の母とかいう名告りをすることもある。
 また、大抵の場合アウラシール人のフルネームは結構長いので、日常会話では人名をアクル+ケザム(またはウルグ)だけで済ますことがある。
 この場合、アクルとウルグはどちらが先に来ても良い。

マグヌハヌ・ラド・バナアル
ラド・バナアル・マグヌハヌ

 上のどちらでも良い。
 また、通常の呼びかけとしては、アクルだけ、ケザムもしくはウルグだけ、クメニだけであったりする。
 通称がアクルよりもケザムやウルグの方が有名という場合もある。

 アヌンは冠詞であり、ルタリの前に付く。
 クムも冠詞であるが、クメニに対してしか使えない。

 ケザムのナブ・マニ、ウルグのラド・ネム、冠詞のアヌン・クムは省略されることもある。

筆記媒体について

 この世界で最古の筆記媒体は粘土板である。

 粘土板はアウラシールの南方ジルバラ地方で生まれた。

 ジルバラには広大な湿地帯が存在し、そこには材料となる粘土が豊富にあったためである。

 粘土板は製造が非常に容易であり、硬化する前ならば書き直しも可能であった。

 乾燥させるなり焼くなりして硬化させてしまえば書き換えは不可能になるので、契約の(あかし)としても使用できた。

 そしてほとんど半永久的とも言える保存性があった。

 古代のアウラシールでは粘土板が一般的な筆記媒体だったのである。

 筆記には先を尖らせた葦の茎が使われ、粘土板と葦の茎で筆記しやすい文字として楔形文字が生まれた。

 このように粘土板と楔形文字は不可分の組み合わせであったため、アウラ語を話すジルバラ地方だけでなく、別の言葉を話すナーラキアにおいても粘土板と楔形文字が使われていった。

 しかし粘土板には非常に嵩張るという難点がある。

 そこで獣皮紙やパラム紙が生まれた。

 パラム紙はアウラシール南部域ジルバラ地方の更に南部アメル・ジルバラ地方のニスル・アプスル河流域に繁茂に自生するパラム草から作られた。

 筆記には葦の茎と(すす)を主原料とする墨が使われた。

 パラム紙は折り曲げに弱いので巻いて収納された。

 まれには公文書にも使われたが、耐久性・保存性が良くなかった上に、容易に改竄が可能であった。パラム紙に墨で書かれた文字は水で洗い流せたからである。

 獣皮紙は羊や山羊、仔牛の皮などを伸ばして張り、薄く削って乾燥させた物である。

 これも筆記媒体として使われたが、パラム紙同様、獣皮に墨で書いた文字は水で洗い流すことができ、削ることでも消すことができ、改竄の許されない重要文書には使えるものではなかった。

 獣皮紙はパラム紙よりも強靱であった分、優れていると言えたが、生産のためには貴重な家畜を殺して皮を剥ぐ必要があるので流通量は少なかった。

 その頃までのアウラシールでは、書物はパラム紙による巻物形式が一般的であったので、その保護用外装として獣皮紙が使われた。

 よって重要書類、重要文献には依然として粘土板が使われ続けた。

 何よりも獣皮紙とパラム紙は高価であったが、粘土板にはただで作れるという決定的な利点があった。

 粘土を拾ってきて木枠の型に入れればそれで完成だったからである。

 

 時代が下り、統一以前のローゼンディア(七王国時代ともいう)では、筆記媒体として粘土板、パラム紙、獣皮紙が使われていた。一時的な覚え書きには蝋板が主に使われた。

 ただし、独自の文化を持つゼメレス族の本拠地トラケス地方だけは異なり、木簡・竹簡・玉簡、絹帛が、筆記具として毛筆が使われた。

 パラム紙は脆いだけでなく、湿気やすくて黴びやすいという難点があり、アウラシールよりも湿度の高いローゼンディアでは扱いにくいものだった。

 かと言って粘土板ではあまりにも嵩張りすぎるし、いくらでも書き換え可能な蝋板やパラム紙、獣皮紙は公文書には到底使えなかった。

 しかし獣皮紙は書き換え可能という点を除けばパラム紙よりも強靱であり、取り回しに便利だったので、何とか書き換え不能に出来ないかという研究が進んだ。

 そこで鉄墨が生まれた。

 木にできる虫瘤(むしこぶ)と鉄を主原料とするそれは、非常に耐水性が高く、水で洗い流しても擦っても消すことができないものだった。

 また、獣皮を透けるほどに薄くすることで、削りによる改竄をしにくくした。

 獣皮紙はパラム紙よりも書きやすく折り曲げに強く、耐水性、強靱性、保存性に優れていたし、何より鉄墨を使って書けば改竄はし難いということで公文書に採用された。

 ところがパラム紙や、獣皮紙に鉄墨で書かれた文字は、ロコポやティモネという果実の絞り汁で消せることが判明した。

 その結果、ローゼンディアでは商用だけでなく公文書まで含めて、文書の改竄が横行することになった。

 文書の改竄による混乱はアウラシールにも及んだ。

 当時、アウラシールでも鉄墨の導入が進んでおり、パラム紙による公文書の作成が始まっていたのである。

 獣皮紙ではなくパラム紙が選ばれたのは、アウラシールでは膨大な情報量の史書や、その他の書籍が作られるからである。材料の調達という観点から見て、獣皮紙は候補にすら挙がらなかったのである。

 しかしこの事実が知られるようになると、アウラシールの各都市国家はまた粘土板へと回帰していった。

 一方、鉄墨の誕生と時を同じくして、トラケスで樹皮や植物の繊維を原料とする(テピクス)が生まれた。

 (テピクス)はパラム紙よりも優れた筆記媒体ではあったが、ただ一点、葦の茎や竹、鳥の羽根などの硬筆では引っ掛かって書きにくいという難点があった。

 筆記具に毛筆を使うことが主流であるトラケスにおいてはなんら問題の無い点ではあったが、硬筆が主流の他地域では大きな問題点であり、(テピクス)は当初トラケス以外の地域ではあまり使われることはなかった。

 ところが鉄墨による記述もやはり改竄可能であるという事実が判明したことで、(テピクス)が注目されるようになった。

 墨で書こうが鉄墨で書こうがいずれにしても、(テピクス)に書かれた文字はがっちりと滲み込んでいるので消すことが出来なかったのである。

 この事実が広まると、改竄が許されない文書、特に契約書にはどの地域でも(当時はそれぞれが独立国だったが)トラケスから輸入した(テピクス)が使われ始めた。併せて、トラケスでは硬筆用の(テピクス)の改良が進んでいくことになる。

 ローゼンディア王国が成立すると、文書の改竄はより大きな問題となって浮上してくることになった。

 しかし市場流通量は(テピクス)よりもパラム紙や獣皮紙の方が多く、公文書改竄を撲滅するためには(テピクス)をより多く製造する必要があった。

 この事態を重く見た時のゼメレス女王(当時は七王家が並立していた)は、ゼメレス族秘伝の(テピクス)の製法公開に踏み切る。

 ただし製法公開は七王家、則ち後の七宗家と言われる氏族に限り、(テピクス)を用いた契約定款などの形式・作法にゼメレス族の流儀が反映されることになった。

 こうして(テピクス)がより多く製造され、硬筆用に改良を加えられることにより、パラム紙や獣皮紙は公文書に使われなくなっていった。そもそもパラム紙にせよ獣皮紙にせよ高価であったため、より安価な(テピクス)への切り換えは急速に進んだ。

 それでも獣皮紙は完全に使われなくなったわけではなかった。食べるために屠殺した動物の有効活用でもあったし、(テピクス)よりも強靱性が高いということもあって使い途はまだあった。

 削りによる改竄対策のため、従来は薄ければ薄いほど良いとされた獣皮紙であったが、書き換えやすい欠点を利点に変え、厚めに作ることで繰り返し使える筆記練習や覚え書きに使われた。また、本の装幀や地図、美術絵画の基底材にも使われた。

 薄い獣皮紙の製造には非常な手間と熟練の技術を必要としたが、薄い獣皮紙が必要なくなり、獣皮紙自体の需要も激減したことで、高価であった獣皮紙はより安価に手に入るようになった。とはいえそれでも獣皮紙は(テピクス)よりも高価であり、一般庶民にはなかなか手の出ないものである。

 尚、鉄墨は紙との相性が悪く、鉄墨で書かれた部分は数年から数十年で穴が開くことが多かった。また、経年により褪色するという欠点もあった。そのためこれはあまり使われなくなった。

 一方すべての点において(テピクス)に劣るパラム紙は完全に使われなくなった。

 

 アウラシールでは獣皮紙とパラム紙が一般的な文書用筆記媒体であった。

 改竄が絶対に許されないような重要文書には粘土板が使われた。

 これは遥かな古代から伝わる粘土板という筆記媒体に対して民族的な誇りを抱いていた事と、(当初は)改竄不能になると思われた鉄墨がなかった事とによる。

 鉄墨が伝来すると、獣皮紙ではなくパラム紙との組み合わせで公文書への置き換えが進められたが、この結果がどうなったかは既に記した通りである。

 アウラシールでの獣皮紙は一般的な書き物や、パラム紙の巻物を包む保護紙として使われた。

 だがローゼンディアで硬筆用の(テピクス)の製造が始まったことで、状況が大きく変わった。

 輸入品としてアウラシールにも(テピクス)がもたらされ、たちまち公文書にも使われるようになったのである。

 しかしその流通量は少なく、当初は自前製造のパラム紙よりも高価であったため、すべての公文書が(テピクス)に取って代わることはなかった。

 ところがベルガトがローゼンディアに奪われたことで事態が変わってくる。

 ローゼンディアがベルガトを占領した際に紙漉(かみすき)工房が作られていたが、ザナカンダ王マウナメク三十六世がベルガトを落とした結果、その紙漉工房がザナカンダの手に落ちることとなった。

 捕虜の中には紙漉職人もおり、それらを確保したことで、(テピクス)の製法がマウナメク三十六世のムアルタ朝に流出したのだった。

 アウラシールでは膨大な情報量の史書が作られるため、(テピクス)の需要は非常に高かった。

 マウナメク三十六世は(テピクス)の製法を都市国家の王たちに売って廻り、同時に自身膝元のザナカンダでは職人を養成して(テピクス)が安価に一般に流通する下地を作った。

 こうしてアウラシールでもパラム紙は完全に廃れ、(テピクス)が一般的な筆記媒体となっていった。

 とは言えそれでもやはりアウラシールでは、粘土板の重要性は依然として高く、最も格式高いものであることに揺るぎなかった。

 王国同士の協定には必ず粘土板が使用されるし、一般でも重要性の高い契約書、公文書、文献、そして宗教聖典には粘土板が使われていく。史書は情報量が膨大過ぎるため、重要性の高い部分や要約されたものが粘土板に記述された。

 アウラシールから分かれた歴史を持つローゼンディアでも(この表現は厳密ではないが、説明が繁雑になるためここではこうしておく)粘土板は格式が高く、重要なものではあるが、『偽装の結婚』の時代では、既に宗教儀礼的な意味合いしかなくなっており、実用的な使われ方はしていない。

 アウラシールで(テピクス)が自前製造可能になっても、ローゼンディアから(テピクス)は輸入され続けた。

 ローゼンディアで作られた(テピクス)の方が上質であったからである。

 特にトラケス産、俗に言うトラケス紙は、アウラシールの書家や文人に絶賛され、彼らはそれで散文・詩文を書いた。

 

 一方西に目を転じると、伝播したのか開発したのか、その経緯は不明ながらレメンテム帝国やヴァルゲン諸侯国でも獣皮紙は使われていた。

 しかしヴァルゲンにおいては裏切りや契約破りは日常茶飯事であるため、獣皮紙の改竄しやすさには無頓着であった。取り敢えず書ければ良いという程度であり、紙の重要性に注目する者は少なかったのである。

 レメンテム帝国はと言えば、(テピクス)は輸入品として流通していたが、異教の文明が生み出した物である。帝国の教皇庁はその事を問題視した。

 こうした宗教的な障壁があったため、(テピクス)が帝国内にもたらされるには時間がかかった。

 そしてレメンテムでもやはり公文書改竄が横行していた。

 やがて(テピクス)の価値が知られるようになり、政治的な決着が付いて漸く(テピクス)を導入することになったが、当初は(テピクス)の製法が伝播しておらず、輸入に頼らざるを得なかった。

 輸入される(テピクス)は非常に高価であったが、改竄対策として(テピクス)を公文書に採用していくことになる。

 また、獣皮紙も(テピクス)も一般庶民の手に入るようなものでは到底ないため、レメンテムの識字率はかなり低く、それがごく一部の特権階級による支配を強める要因の一つとなっている。

 なお、レメンテムには粘土板やパラム紙はほとんど入っては来なかった。

『偽装の結婚』第一部あらすじ(ネタバレあり)

※第一部の最初から最後までのあらすじを全部書いています。すでに第一部を通読された方向けです。

 

 ローゼンディア王国の豪商の娘アイオナは、親元を離れ、異国アウラシールの交易都市アンケヌに遊びにやってきていた。そこには父が開いた支店と屋敷があり、それらの管理を任されている幼馴染みのヒスメネスがいる。

 ある夜、アイオナが居住する区域に騒動が起こる。都市の兵に追われているアウラシール人の強盗殺人犯がこの区域に逃げ込んだというのである。

 一人、夜の屋敷を彷徨(うろつ)いていたアイオナは、屋敷に闖入(ちんにゅう)してきたその男、ダーシュと遭遇する。ダーシュはアイオナの生命(いのち)を盾に取り、自分と結婚するよう迫る。

 なんとなれば、アウラシール人のダーシュはローゼンディア人のアイオナと結婚することで都市の警吏の手から逃れることができるのであった。

 自分と結婚して(たす)けてくれたらアイオナの身を護ってやるとダーシュは言う。アイオナは渋々それに応じ、二人は契約を交わす。

 二人の偽装結婚の宴が開かれたその夜、アンケヌは謎の集団の襲撃を受ける。しかし、アイオナのいる屋敷だけは難を逃れた。ダーシュがその集団の仲間であったためであった。

 集団は、盗賊団の首領であるハダクを頭とする周辺部族団と、ギドゥを頭とするゴーサの傭兵団で構成されており、襲撃の首謀者はダーシュの従兄弟であるザハトであった。またザハトには謎の魔道使いケザシュの協力があった。

 ザハトはアンケヌの支配者となるべく、アンケヌ王ジヌハヌを処刑し、ゴーサの傭兵団にハダクを殺させ、続いてギドゥを殺す。そしてギドゥ殺しの濡衣をダーシュに着せてゴーサの傭兵団の矛先をダーシュに向けさせ、ダーシュの殺害をも目論(もくろ)む。

 ザハトの意図を察したダーシュはアイオナと共にアンケヌを脱出する。

 ダーシュの召使いであり、脱出の協力をしたホイヤムによってアイオナはダーシュの正体を知る。ダーシュは先王の子であった。母方の叔父であり、謀反によって王の座を得たジヌハヌにその身を追われたのだという。つまりはアイオナは権力争いに巻き込まれたのだった。

 ダーシュを追うゴーサの傭兵団やハダクの残党、生前のジヌハヌから放たれた暗殺者(ガズー)を恐れつつ、奴隷娘スィサを救けたり、ヒスメネスの協力者となったケザシュに救けられたりしながら、ダーシュとアイオナはローゼンディアの植民都市ディブロスへ無事逃げ込む。

 そこで別れを告げた二人だったが、その直後、ダーシュは暗殺者(ガズー)の手にかかり意識不明の重体となる。しかし、アイオナとヒスメネスによって一命を取り留める。

 そして束の間の平穏に浸る間もなく、アイオナの父ファナウスがディブロスにやってくるとの報せがあった。

 天才的な商人であり、奇人でもあるファナウスの襲来を切り抜けるべく、ダーシュとアイオナの偽装結婚は延長されることになり……

『偽装の結婚』第一部登場人物(ネタバレあり)

ローゼンディア人

アイオナ・リリア・メルサリス ♀

 本編の主人公。
 ダーシュの仮初めの妻。
 メルサリス商会の跡取り。

ヒスメネス ♂

 アイオナの幼馴染み。
 メルサリス商会アンケヌ支店の管理人。

アウラシール人

ダーシュ ♂

 アイオナの仮初めの夫。
 アンケヌの王位を追われた王の子であり、現在最も正統な王位継承者。

ザハト ♂

 ダーシュの従兄弟。
 アンケヌの名門の出身であり、母方から王家の血を引いている。
 アンケヌの王位を奪還し、アンケヌの摂政となる。

ジュダル ♂ 死亡

 ダーシュの兄。
 アンケヌの王太子だったが、ジヌハヌの謀叛により凶刃に斃れる。

ジヌハヌ ♂ 死亡

 ダーシュの母方の叔父。
 謀叛によりアンケヌの王位を簒奪するも、ザハトに処刑される。

ギドゥ ♂ 死亡

 ゴーサの傭兵団の副将。
 アンケヌ襲撃作戦に参加するも、ダーシュに化けたケザシュに抹殺される。

ハダク ♂ 死亡

 盗賊団の首領。
 アンケヌ襲撃作戦に参加するも、ゴーサの傭兵団に抹殺される。

ケザシュ ♂

 神出鬼没の謎の魔道使い。
 以前はザハトに取り憑いていたが、今はヒスメネスに取り憑いている。

ホイヤム ♂

 ジュダルが救けた元奴隷であり、ジュダルの近侍だった。
 ジュダルの遺言により、ダーシュに仕えている。

ギジム ♂ 死亡

 アンケヌの王室近衛兵。
 ホイヤムと共に、少年期のダーシュとザハトを護り抜く。

スィサ ♀

 アイオナが救けた元奴隷の少女。

『偽装の結婚』第二部登場人物(第八章まで)

ローゼンディア人

ファナウス・ディアス・メルサリス ♂

 主人公アイオナの父。
 メルサリス商会長。変人。

イネス・マヌエラ・サフィアス ♀

 アイオナの大伯母。
 王国貴族。厳格な性格。

シフォネ・ロザリナ・サフィアス ♀

 アイオナのはとこ。イネスの孫。
 恋愛となると持ち前の心配りが働かなくなる駄目な子。

マルガレア ♀

 アイオナの叔母。
 全登場人物中最強の愛されボディの持主。

ゼルヴィス・オルス・アナクシス ♂

 ペルギュレイオン競技会、槍投げとイスキュロン走の優勝者。
 アナクシス海将家の人間。
 一般に『サザロスのゼルヴィス』と呼ばれている。

イェラオス・ニフティス・アナクシス ♂

 ゼルヴィスの父。
 アナクシス海将家当主であり、三海将の一人。野心家。

フェルメア・ファルマ・アナクシス ♀

 ゼルヴィスの妹。
 なんでも書き付ける性癖を持つ。

オルシオン・ロメス・グライアス ♂

 現海王の甥。ゼルヴィスの母方の従兄。
 外見は文人風の雅人である。

リメルダ・ヴィオラ・ヴィングリス ♀

 フィロディアス海将家に連なる縁戚で、ヴィングリス家の令嬢。

ルキア・アマーティア・ゼメレス ♀

 東方鉄弓家筆頭ベルディアス家の跡取り。
 一族の者らしからぬ外見をしており、その容貌上の不利と戦ってきた。
 敵意ある者たちからは『平民姫』と呼ばれている。

クリュスタ・フィオリナ・ゼメレス ♀

 ルキアの年少の友。
 東方鉄弓家序列第五位ガルファディス家のお姫様。
 癇癪持ち。踊りの名手。

メイファム・エストリタ・テルミオス ♀

 ルキアの護衛兼秘書、幼いときからルキアに仕えてきた腹心の家臣。
 元軍人であり、ゼメレス宗家の近衛兵団(ベルディエータ)に所属していた。

デトレウス・ファルクス・ヘムデリエス ♂

 劇作家にして俳優。
 劇団『世界座』の座長。

グラトリア・ジルダ・セウェルス ♀

 現セウェルス公クラティスの姪。
『剣の神殿』第八十三代短剣・小剣の聖者。
 人呼んで『双剣の魔女』。
 イスターリス戦士団の戦士。

アシュロス ♂

 イスターリス戦士団の戦士。
 狩猟神の末裔(ダルフォイヘーレイ)ヘカリオス氏族。

ガレオン ♂

 イスターリス戦士団の戦士。
 嵐神の末裔(ドヌスヘーレイ)エンデュオス氏族。

アウラシール人

イシュタト ♂

 アンケヌの王室近衛兵であったギジムの息子。
 奴隷の身に堕ちていたが、ザハトに救われ、貴族の身分を取り戻す。
 リアバル家の家長としての力を身に付けるべく、ザハトの後見の下、文武に励む。

メニエフ ♀

 リアバル家の召使い。
 イシュタトの元同僚で奴隷だったが、自由民となる。

ナトアム(カミル) ♂

 イシュタトの弟。
 赤子の時に大道芸人モルピトに買われ、弟子として育てられる。
 己の素性を知らぬまま、ナトアムの名で生きている。本名はカミル。

マグヌハヌ・シュガヌ ♂

『剣の神殿』の剣匠。
 ジヌハヌによる王位簒奪が起きるまではアンケヌ近衛兵の剣術指南役を務めていた。
 ザハトに請われ、イシュタトの剣術指南をする。

ファマヌ ♀

 シュガヌの孫娘。

ラド・ラザハ ♂

 イシュタトの後見人の一人であり、リアバル家の管理人。
「ラド・ラザハ」は「ラザハの父」の意であり、本人の名前(アクル)ではない。アクルは不明。
 顔に酷い傷を負っている。

グヌグ ♂

 イシュタトとメニエフの元主人。
 法に基づいた厳正な裁きにより、全財産を失う。

マーレフ ♂
ザブラム ♂
ヴァーファル ♂
イェヒム ♂
ナッハ ♂

 ゴーサの傭兵。ザハトの私兵として傭われている。
 イシュタトの剣術稽古仲間。

ダルメキア人

ハルラナム ♂

 ファナウスの親友。
 海運を領分とする大商人。

エルルーク ♂

 ハルラナムの息子。

ニクメク ♂

 商人であり、ディブロスの商工会の顔役。
 自分で演じるほどの、大の芝居好き。

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